最近開発、公開したFrieve EffeTuneについてご紹介します。 Frieve EffeTuneは、ブラウザ上で音楽再生中の音質をリアルタイムに加工できるオーディオ愛好家向けの新しいアプリです。
従来の物理的な機材によるチューニング(アンプやケーブルの変更、その他アクセサリの追加など)に頼ることなく、手軽にお好みのサウンドメイクを実現します。ストリーミングサービスやお使いの音楽プレイヤーアプリからの音声に対して、多彩なエフェクトを重ね、一般的なイコライジングや音圧調整はもちろん、あたかもアナログレコードのような温かみやゆらぎ、FMラジオのような圧縮された音、真空管アンプの低いダンピングファクターによる低音などを再現できます。

アプリURL:
特徴
ブラウザで完結する手軽さ
主要なブラウザ(Chrome 推奨)上でアプリのURLにアクセスするだけで動作します。どなたでもすぐにご利用いただけるシンプルなUIが魅力です。
豊富なエフェクトチェーン
本ポスト時点で23種類のエフェクト、5種類の可視化ツールを、ドラッグ&ドロップで直感的に組み合わせ可能です。
リアルタイム調整とプリセット共有
エフェクトのパラメーターは再生中に変更可能。お好みの設定は、URL にすべての情報が保存されるため、ブックマークやSNSで簡単に共有できます。
10か国語に対応した詳細マニュアル
使い方説明は英語、中国語、スペイン語、ヒンディー語、アラビア語、ポルトガル語、ロシア語、日本語、韓国語、フランス語でご用意しています(画面右上のWhats this app?より)。
セットアップ手順
仮想オーディオデバイスのインストール
Frieve EffeTune の動作には、VB Cableなど仮想オーディオデバイスの導入が必要です。手軽には以下のURLからダウンロードできるVB Cableがおすすめです。
システム設定の確認
Windows の設定、システム、サウンドにて、VB Cableの入力・出力およびお使いのオーディオ出力のフォーマットを24bit/96kHz以上に設定します。これにより、ストリーミングソフトからの高品質なオーディオの受け渡しと、EffeTune内での高品質なエフェクト処理が可能になります(一般に加工再生にはこれくらいが必要です)。
Frieve EffeTune の起動
推奨ブラウザ(Chrome 等)で Frieve EffeTune のページを開き、マイクとして仮想オーディオデバイスの出力側(VB Cableの場合Cable Output)を選択し、アクセスを許可します。
音楽プレイヤーの設定変更
お使いの音楽再生ソフトの出力先を、仮想オーディオデバイスの入力側(VB Cableの場合Cable Input)に変更することで、Frieve EffeTune へ音声が正しく入力されます。
使い方解説
Frieve EffeTune は、シンプルながらも多機能なエフェクトを備えています。画面左のAvailable Effectsにあるエフェクトから使いたいエフェクタを探し、画面右のEffect Pipelineにドラッグ&ドロップして追加します。Effect Pipeline内のエフェクタは上から下に向かって順に適用されます。 各エフェクトの詳細についてはドキュメントをご参照いただくのが良いかと思いますが、以下でいくつかのエフェクトをご紹介いたします。
Narrow Range
アナログレコード特有の中域重視の音質を再現するため、EQカテゴリーに配置されているNarrow Rangeエフェクトが利用できます。ロールオフの開始周波数やスロープをスライダーで調整し、お好みの音のバランスを見つけてください。
Saturation
このエフェクトをオンにすることで、音に歪みによる倍音が加わります。Biasパラメーターを変更することで、偶数倍音と奇数倍音の強調具合を調整し、より豊かなサウンドに仕上げることができます。
Noise Blender / Wow Flutter
Noise Blenderを使用し、例えばピンクノイズの追加により音の背景に微妙なテクスチャーを加えることができます。また、Wow Flutterで再生音に微細なピッチの変動を加えることで、アナログレコード再生時の温かみや不安定感を再現できます。
各エフェクトのパラメーターは、再生中にリアルタイムで反映されますので、試行錯誤しながら理想のサウンドを追求してください。
ソースコード
詳細情報やソースコードは、公式 GitHub リポジトリにて公開中です。
GitHub(ソースコード):
関連動画
本動画のコンセプトや使い方については以下のYouTube動画で詳しく解説しています。
【オーディオ】超お手軽加工再生ソフト作ってみた【マスタリング】
何故プロが作り込んだ音質をわざわざ加工して再生する必要があるのか?加工を行うと音質が劣化するのではないか?などの疑問を持たれた方もぜひご覧ください。
まとめ
Frieve EffeTune は、従来DAWやプラグインのセットアップを必要とした各種デジタルエフェクトをブラウザ上で手軽に用い、音質加工を楽しむためのツールです。高価な機材を必要とせず、低コストかつ気軽にお好みのサウンドメイクが可能になりました。本アプリを通して、これまでにない音づくりの自由度をぜひ体験していただければ幸いです。
どうぞお楽しみください!
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